歯周病は生活習慣病と相関性があります

全身を取り巻く生活習慣病

肥満は高血圧、心臓病、糖尿病など生活習慣病を引き起こすと言われています。肥満になると免疫機能が低下する可能性が高く、歯周病菌に対しても抵抗する力が衰えてしまいます。肥満の方は運動不足になりがちで歯周病菌に対して抵抗力が衰える可能性がありますので注意しましょう。

糖尿病

とくに糖尿病における三大合併症といわれる腎症・網膜症・神経症に次いで第6番目の合併症として歯周病が認められるようになりました。

―糖尿病と歯周病の関係―
糖尿病になると血糖値が上がります。その血糖値の上昇により引き起こされる症状としては、次のことが考えられます。

1.高血糖状態では、浸透圧の関係で尿がたくさん出ます。その結果、体内の水分が減少するとともに唾液の分泌量が減り、口が渇く(口腔乾燥)という症状が現れます。要するに口腔乾燥が進めば歯周病の原因菌が繁殖して歯周病が進行しやすい環境になるのです。

2.唾液などの糖分濃度が高くなる
口の中は唾液や歯肉からの滲出液で常に潤っています。これらの液体は、もともとは血液から作られるものですから高血糖下では、唾液や滲出液の糖分の濃度が高くなり歯周病原因菌の繁殖に適している状況になり歯周病化進行します。

3.細菌に対する抵抗力が低下する
高血糖状態では、細菌を貪食する好中球の働きが低下することによる感染防御機構が鈍化して歯周病を起こりやすい状況が生まれます。

4.組織の修復力が低下する
プラークが形成されると歯の周りにある歯周組織は、細菌によって引き起こされる炎症と、それを何とか修復しようとする働きのせめぎあいが行われるのですが、とくに高血糖状態では、組織を修復する働きが低下することによる歯周病の進行が考えられます。

しかし慢性炎症としての起こる歯周炎をコントロールすることで、糖尿病が改善する可能性が示唆されています。

早産・低体重児出産

妊婦さん10人にひとりの割合で早産していることは知っていますか?

―10人にひとり、早産していることは知っていますか?―
先進国の中でも日本は早産率が高いことは知っていますか。男女雇用均等法が施行されて以来、女性が働きやすい環境が整いつつあります。そのなこともあって、婚期が次第に遅くなり、第1子出産の時期も同様に遅くなってきていることが原因かもしれません。また、「小さく元気な子を産む」という考えのもとに2000グラムに満たない子供の出産が増えています。小さく産むという考えの向こう側には未成熟な状態で生まれる低体重児には何らかの障害を抱える子供が生まれる可能性が高まることを知らねばなりません。

―妊娠から出産に至るまでに体内に起こること―

妊娠から分娩まで、正常な場合

通常、妊娠すると体内ではゆっくりと時間をかけながら子供を十二分に発育させて通常の出産を迎えます。

炎症がある場合の妊娠から分娩まで

しかし、歯周病が発症している場合、サイトカインという炎症性物質の産生が高まります。一旦産生がはじまるとその流れは止まりません。そして時期早々にして出産する、つまり早産につながるというわけです。早産で生まれてきたお子様は障害を持つ確率が高くなりますのでご留意ください。

女性の場合は体調が悪い(お口の中で言えば歯周病やむし歯の放置からうる炎症など)とその炎症から早産を引き起こしてしまう可能性がありますので定期的に歯科受診を行い、常に口腔管理を推奨します。また妊娠した場合、早期に妊産婦歯科健診を受けて口腔内の状況を確認してください。悪ければ産婦人科のかかりつけ医と連携をとりながら歯周病に対する治療を行いましょう。

認知症

最近、65歳以下(50歳前後)で発症する若年性認知症によって失職される方が増えてきていることがニュ-スになりました。認知症はアルツハイマー病やパーキンソン病などの疾患が引き金になって発症すること、βアミロイドの蓄積が発症10~20年前から始まっていることが分かってきていますが、発症の原因がはっきりと解明できていないのが現状です。

現在、医療界においては発症前に高い精度で発症予測(Predictive diagnosis)あるいは正確な発症前診断(Precise medicine)を行い、病気の症状や重大な組織の障害が起こる前の適切な時期に治療的介入を実施して発症を防止するか遅らせるという先制医療という考えがあり、その対応について日夜研究がなされています。

-歯科との関連性について-
医学的にみて明確なエビデンスは今のところありませんが、歯周病と認知症には相関性があることを名古屋市立大大学院の道川誠教授(生化学)らの研究チームが報告しております。自分の歯が20本以上ある人に比べて、歯がほとんど無くて、入れ歯も使っていない人は歯が無い人の認知症になるリスクは約2倍に高まることがわかってきました。また、硬い物を噛めない人は、どんなものでも噛める人に比べて1.5倍リスクが高かったそうです。認知症が進むと日常の行動様式に変化が出てきます。例えば、歯をみがくという当たり前の行動ができなくなります。だんだん雑な磨き方になり、進行すると歯を磨くことが億劫になり、その結果、むし歯や歯周病が急に進行します。慌てて歯科医院に連れてきても本人には治療の意思がない(何のために歯科治療を受けなければならないか理解できない)ために継続した治療にならず、悪化の一途を辿るのです。ですから、皆様には健康である若いうちから定期的に来院して頂き、口腔ケアの必要性について理解して頂きたいのです。

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